SpaceXのIPOは買いか~なんて分からないので、過去のIPOのパフォーマンスを見てみる

鳴り物入りで上場したSpaceX。大儲けを期待する人もいれば、すでに期待を織り込み済なので、今後の大きな伸びは期待できないという人もいます。

まぁ、そんなことは私には分かりようもないので、とりあえず過去のIPO株のその後のパフォーマンスを見てみようと思います。

SpaceXは買いか?

皆さんの中にはSpaceX株を購入した人もいるのでしょうか。初日は売り出し価格19%高で引けたようです。私も抽選に参加しようか迷ったのですが、やはり生来のチキンなので止めておきました。SP500への組み入れはまだ先のようですが、ナスダック100は従来のルールを変更して、最短2週間後の組み入れもありうるということで、こっちでいいかとか日和ってしまいました。

個人的にはマスクの超大金持ち化に手を貸す気もないし(生成AIでもGrokは意地でも使わないつもり)と思うものの、私のような貧乏人が買おうが買うまいが、彼の資産には毛ほども影響しないしなぁ。

750億ドルという巨額IPOなので、下手するとSpaceX株を買うために他の株を売るみたいな人が出てきて、株価全体を押し下げるんじゃないかという声もありましたが、売り出し前日にはアメリカ市場も日本市場もかなり上げましたので(トランプのイラン合意間近の発表で)、まぁ、よかったというところでしょうかね。

市場でも大きな期待をする声がある一方で、伸びるかどうか分からない段階でIPOした会社とは違い、すでに売り出し価格は(過剰な?)期待を織り込み済で、今後の上昇余地は限られているとか、いつ現状の巨額赤字が黒字になるか分からないとか、懐疑的な声も聴かれています。まぁ、好きな人には、こういうスリルが堪らないのでしょう。

ニューヨーク市場と東京市場のIPO実績

果たしてSpaceXは買いか否か、私などには判断する材料は全くありません。そこで代わりに、過去のIPO株のその後のパフォーマンスを見てみることにします。NYSEとJPXのサイトから2000~25年に新規上場した株式のリストを引っ張ってきて、これらの上場後の株価推移を見ることで、IPO株が(結果的に)買いだったかどうかを見てみようと思います。

ただリストには株式と投資信託の両方が含まれているようです。東証の場合は株式と投資信託の区別があったのですが、NYSEのほうは私の探し方が悪かったのか、この区別が取れません。ただファンドらしいものは、同じ会社名で複数のティッカーが付されているものが多いので、これで区別して株式のみに絞ってみました。でも不完全かもしれません。以下、そのベースでご覧ください。

まず2000年以降、両市場での新規上場数を年毎に見たのが、以下のグラフです。ニューヨーク市場では2000年には120銘柄が新規上場しますが、翌年以降は急減。これは明らかにITバブルと、その後のバブル崩壊での市況悪化によるものですね。その後のリーマンショックもあり、しばらく低調な時期が続きましたが、ここ10年程度はITバブル期と近い水準で新規上場が続いています。

一方で東京市場も、2000年は483社というIPOブーム。その後は落ちていきますが、それでもニューヨーク市場よりもIPO数は多い状態が続きます。ニューヨーク市場と同じく、リーマンショック時には大きく減少しますが、アベノミクス以降、かなり堅調に推移します。こちらも好調な株式市況に支えられて、IPO市場は活況という感じです。

なお直近で株価データがない上場廃止銘柄数は、東京で25銘柄、ニューヨークで13銘柄ですので、完全に退出する企業はそれほど多くなかったようです。もちろん、どこか大手に買収されて上場廃止という、成功ベンチャーの可能性もあるかもしれませんが。

IPO後の株価パフォーマンス

では次にIPO後の株価のパフォーマンス(IPO価格からの変化率)を見てみます。上場から1カ月後、1年後、3年後の株価上昇率を計算して、ヒストグラムにしました。

ただし、その日の市況がたまたま良かったり、悪かったりという可能性もあるので、1カ月後パフォーマンスは前後4日ずつ、1年後は7日ずつ、3年後は14日ずつの期間の平均株価にしています。また、なかには異常に値上がりする株もあるので、恣意的ですが上は200%で切って、それを超えるものは異常値として除外しています。

これを見ると、1カ月後の株価だと、それぞれ0%の周りで綺麗に上下に分かれていますが(つまり1カ月後には買ったことを後悔するIPO株も半分ほどある)、1年後になるとほぼ0%辺りにピークがあるものの、どちらかというとマイナス方向に厚い分布となっています。3年後になると、ピークは完全にマイナス方向です。東京だと▲80%辺り、ニューヨークだと▲100%辺り(つまり、ほぼゼロの紙くず)にピークが来ます。

やはりこういうのを見ると、華々しくIPOしても、そこからちゃんと経営を続けて優良企業になるというのは難しいということ、逆に投資家からすると、そういう企業をIPO時に選別するのは簡単なことではない、ということが分かります。

まぁ、さすがにSpaceXが紙くず株になることはないとは思いますが、運よく購入できた方々は、手に汗握って日々の株価を見ておいてください。

発行年によるパフォーマンスの違い

最後に、このパフォーマンスがIPO時期で変わっているのかどうかを見てみます。ここではIPO時の株価と今年5月末の株価を単純に比較します。発行年が異なりますが、特に年率換算などはしていません。

東京市場だと、パフォーマンスがいいのは2000~01年、2010年、2012年といったところ。逆に悪いのは2009年、2011年、2018~21年といった辺りでしょうか。2013年以降のアベノミクス・黒田バズーカで東京市場は爆上がりの状況ですが、この時期にIPOした企業のパフォーマンスはあまりよくありません。逆に言えば、東京市場が沈んでいた時期に新規上場した企業では、発行時の株価が低かったため、株式市場が好調な足元で高くなったという側面もあるのでしょう。

ニューヨーク市場の場合、中央値はいずれもマイナスなのですが、比較的上の方に振れているという意味で一番良かったのは2011年。残念ながら2000年代前半の古いIPO企業、またリーマンショック頃の2008~10年のIPO企業は全滅に近い感じですね。これを見ると、足元では中央値が比較的高い2024~25年の新規公開企業も、この後どうなるか分かりません。

日本と違ってダメな企業はすぐに市場を退出して、でもこういった起業家も別の顔をして再び起業する、というのがアメリカ社会のダイナミズムだという評価もあります。この辺りがアメリカの成長率の高さの源泉なのでしょうが、とはいえIPO株を買った投資家からすると困ったものではあります。

ただハコ部分(25~75%タイル)は水面下に沈む傾向とはいえ、100%、200%上昇といった辺りにも、ある程度の株式は存在します。リスクをしっかりとれる投資家であれば、こういう少数の将来のスターを青田買いする夢を追ってもらうのは、経済全体にとってもいいことでしょう。

まぁ、今回SpaceXの株を買った皆さん、末永くお幸せに!

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