錦織圭の戦歴を改めて見直してみた

テニスの錦織選手が今シーズンでの引退を発表しました。秋のジャパン・オープンが引退試合になるのでしょうか。今年はワウリンカ、モンフィス、ゴファンも引退予定ですし、年初には錦織のライバルだったラオニッチも引退しました。世代交代の波ですね。

錦織選手は、かなりケガに苦しめられて、最近はひとつ下のチャレンジャー大会が主戦場でした。でもプロ転向が2007年とのことなので、通算20年にわたってプロの世界で活躍してきたわけです。長いですね。

あまり大した作業もできませんが、彼の戦績などをざっと振り返ってみたいと思います。

ランキング推移

まずはランキングの推移を見てみます。左がプロデビューからATPツアーに参加していた2025年までの全期間、右がこのうちトップ30位以内にいた期間です。赤い点は、最初のツアー優勝(2008年2月デルレイビーチ)と、全米オープン決勝戦(2014年9月)を示しています。また網かけしたのが、ケガで長期ツアー離脱した期間です。

デビューは2007年7月、当時のランクは394位、ここでは1回戦敗退だったようです。次の大会で準々決勝まで進出して276位までランクを上げますが、その後は2回戦敗退、1回戦敗退×2回といまひとつ結果が出せませんでした。

しかし年が明けて2008年2月のマイアミ・デルレイビーチの大会ではジェームズ・ブレークを破って優勝、これで順位を131位へと上げました。2009年2月には59位まで上げたのですが、その後、ケガで約1年、ツアーを離脱。2010年2月に再びデルレイビーチで復帰した時のランクは898位。シビアな世界ですね。

しかしその後、徐々にランクを上げていき、2011年4月にトップ50位以内に入った後、11月にはトップ30入り、2012年2月にトップ20入り、そして全米オープン準優勝の後、2014年9月にはトップ10入りを果たします。

やはりキャリアのハイライトは、2014年全米オープンですね。この時は4回戦でライバルのラオニッチ、準々決勝ワウリンカ、準決勝ジョコビッチを破って決勝戦に進出します。決勝の相手はビッグサーバーのチリッチですが、記録を見ると、その時点での戦績は錦織の5勝2敗、直前まで3連勝していたみたい。まぁ、この時は日本中が錦織の優勝を期待していました。でも残念ながらエネルギー切れという感じで、負けてしまいました。

その後、2015年8月にはキャリアハイの4位になり、ケガで約半年、ツアー離脱する2017年8月までトップ10圏内を維持していました。約3年間、トップ10を維持し、ケガからの復帰後もまたトップ10復活したのですから、やはり素晴らしい成績でした。

しかし2019年の全米オープンの後、右ひじの手術で約1年、ツアー離脱。一度復帰するも、2021年10月から再び約1年半の長期離脱となりました。その後、ツアー復帰はするものの、やはりケガからの完全復活は果たせず、ATPレベルでは2025年8月のシンシナティ大会への出場が最後だったようです。この時のランクは65位でした。

勝率推移

以前、ビッグ3とレジェンドを比較した際、勝率70%超えを一つの基準として、その期間の長さを見ました。上が勝率、下が年間の試合数(大会数ではなく)です。データはATPツアーのみで、下部のチャレンジャーは含みません。またオリンピックも含みません。

上述したデルレイビーチ大会での優勝(2008年)の頃は、勝率は6割程度でしたが、試合数は限られていました。その後、ケガもあり、2年ほどは試合数も勝率も低い状態でしたが、その後、本格復帰すると勝率は6~7割の辺りで推移。全米オープン準優勝の2014年には7割越えを果たし、3年間、この水準を維持。さらに3年間は、7割は微妙に切りますが、この高い水準で推移します。

例えばATP1000ポイントのマスターズだと優勝まで6回試合があるので、コンスタントに準々決勝まで行く(そこで負ける)というのが7割強という水準です。さすがにビッグ3と比肩しうる、とは言えませんが、やはりすごいことだと思います。

トップ10選手との対戦成績

次に錦織のトップ10選手との戦績を見てみます。以下は、対戦時に相手がトップ10にいた試合のみを抽出して勝敗を見たもの。

対戦回数が多いのはジョコビッチですが、大きく負け越しています。勝ったのは2回だけ。一度は前述の全米オープンですが、その前に2011年にスイスの試合でも勝っているようです。次はナダルですが、2015年のカナダのマスターズで1度、勝ったのみ(オリンピックの1勝はデータに含んでいません)。一方、フェデラーには3回、マレーには2回勝っています。とはいえ、負け越しではあります。

勝ち越しているのは、フェレール(7勝4敗)、ワウリンカ(4勝2敗)、ツォンガ(4勝1敗)等ですね。勝手に決めた同世代対決で見ると、ラオニッチ(3勝2敗)、チリッチ(3勝1敗)、ディミトロフ(1勝0敗)ですが、デルポトロには0勝3敗で勝ちなし。これを見ると、チリッチの1敗(全米オープン)は本当に惜しかった。

フルセット・マッチの戦績

錦織と言えば、フルセット・マッチの強さというイメージはあります。これも数えてみました。最終セットまで行った試合かどうか(yes/no)で勝ち負け(win/lose)を数えてみたのが以下のグラフ。グランドスラムは5セット・マッチなので、3-1と3-0は区別せずにnoにしています。

これを見ると、いずれもフルセット・マッチのほうが試合数は少ないですが、勝率は高くなっています。3セット・マッチの場合、ストレート・セットの勝率60.9%に対し、フルセットの勝率は71.4%と10ポイントも高い、5セット・マッチの場合は65.8%対81.2%と15ポイントも高くなっています。やはりグランドスラムでのフルセット勝率8割というところが、「錦織=フルセット勝利」というイメージのもとになっていそうです。

錦織が活躍していた頃、NHKは普通にテニスの試合を中継してくれていたのですが、彼が出なくなったら手のひらを返したように、全く無視するようになりました。以前、松岡修造が「今は錦織ブームではあっても、テニス・ブームではない」と言っていた記憶がありますが、今の状況を見ると彼の主張が正しかったですね。

メジャーリーグやサッカーは、海外で活躍できる選手が継続して現れていますが、どうもテニスは続きませんね。松岡修造の最高ランクは46位だったそうです。錦織の後、松岡超えのランクに達する男子選手も出ましたが、トップ20入りもないようですから、やはり錦織は図抜けた成績でした。最近は女子も少し低迷しているし(ランク的には大阪なおみはいますが)、そろそろ男女でスターが出てほしいものです。

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