なんで阪神、こんな早よ優勝できたんや?

私は特段の野球ファンという訳ではないので、真面目に野球について語る資格も、そんなつもりも全くありません。野球をネタにして、データをひねってみた記事として許してください。

今年の阪神、プロ野球史上最速でのリーグ優勝を決めてしまいました。これはこれで喜ぶべきことでしょうが、数字を眺めると、ちょっと不思議な気持ちも拭えないところ。この辺り、少しデータを見ながら遊んでみようと思います。

阪神の歴代最速優勝は巨人のおかげ

昔は夏になるとTVのナイター中継があり、ビール片手に寝転がって野球中継を見る、というのが、日本の正しいオヤジの姿でした。私も昔は、晩飯を食いながらボォーっと野球を見ることもあったのですが、今は野球中継自体がなくなってきています。

ということで、私は特に野球ファンということでもないのですが、高校まで大阪に住んでいたこともあり、翌日、ニュースや新聞で阪神が勝っているのを見ると、たまには世の中、エエこともあるわな、とほっこりするという日常です。

逆に言えば、その程度に過ぎず、特に阪神ファンということではありません。以下では阪神贔屓っぽく読める方向にも進みますが、そういう意図は全くありません。

そして今年。阪神は一昨年優勝したばかりなので、次は10年後かなと思っていたら、なんと優勝。しかもプロ野球史上最速での優勝というオマケも付いてきました。

ただ優勝時点での阪神の勝率が0.634。もちろん低くはないのですが、パ・リーグの1位ソフトバンクの勝率も0.625と、そう変わらない水準です。ところが阪神は優勝、ソフトバンクはM15という状況に、どうも落ち着かない気分になりました。

そこでネットで2000年以降歴代の順位と勝率データを引っ張ってきて、比べてみました。ピンクの点が昨年までのセ・リーグ成績、薄青い点がパ・リーグ成績、赤い三角が今年のセ・リーグ、青い十字が今年のパ・リーグ成績です(今年は阪神優勝の9月7日時点の数字)。

見てわかるように、今年のセ・リーグ(阪神)、パ・リーグ(ソフトバンク)の勝率はそう変わらない水準。また歴代の1位勝率と比べると、明らかに高い部類には入りますが、史上最速なのにトップではありません。

ところが2~4位を見ると、今年のセ・リーグの勝率は歴代でも最も低い部類であり、また特に2位を見るとセ・リーグとパ・リーグの間に大きな差があります。右パネルに小さく、1位と2位の勝率差のグラフを付けましたが、今年の勝率差は史上最大です(勝率差がマイナス、つまり1位<2位の点があるのは、以前、プレーオフ制度があったときに逆転したものらしい)。もちろん、シーズン終了までに差を縮める可能性はあります。

結局、阪神が最速優勝を決めたのは、もちろん第一には阪神の勝率が高かったからですが、さらに2位の巨人が勝てなかったことが後押しした、ということになります。

なぜ両リーグでこんなに違う?

以下では勝越し数(勝ち試合数-負け試合数)でもう少し比較します。9月7日時点での勝越し数を、両リーグの同じ順位どうしで並べて比較します。また全試合での数字とともに、交流戦での勝越し数、交流戦を除くリーグ戦での勝越し数も比較しました。

まず全試合で見ると、パ・リーグの場合、1位から5位まで比較的なだらかに推移しているのに対し(6位ロッテはダメダメですが)、セ・リーグは1位と2位の間に断崖があります。この時点で阪神のみ勝越し数がプラス、2位の巨人以下はすべて負け越しです。

ただ阪神の勝越し数は33試合、一方、パ・リーグ首位のソフトバンクの勝越し数も30試合とそれほど変わりません。また最下位の負け越し数も両リーグ、ほぼ変わりません。本来はリーグ全体で勝越し数の合計はゼロのはずなのに、セ・リーグの2位以下が大きく「負け越せる」のは、結局、交流戦での負けが込んだ「負債」のせいです。

交流戦成績を見ると、セ・リーグでは広島だけがゼロ、他は阪神も含めて全球団が負け越しています。この合計が▲20試合。逆にパ・リーグの合計はプラス20試合。このためセ・リーグの勝越し数は全体に押し下げられ、逆にパ・リーグの勝越し数は押し上げられるという結果になります。

もちろん、これは阪神の優勝が交流戦のせいということではありません。リーグ戦のみの結果で見ると、阪神の勝越しは35試合と、パ・リーグ首位のソフトバンクの23試合を10試合以上、上回っています。しかしセ・リーグ2位の巨人の勝越し数は4、パ・リーグ2位の日本ハムの勝越し数18には大きく見劣りします。

結局、セ・リーグ全体が交流戦で大きく負け越したことが、下手すると2位の巨人すら負け越してシーズンを終えるかもしれない、という悲惨な状況を手助けした、と言えます。

交流戦の戦績を重視すると?

交流戦はシーズン全体143試合中の18試合に過ぎないので、最終結果に与える影響は限定的です。しかし日本シリーズの目的が両リーグ通じての最強を決めることであれば、「日本シリーズに出る資格」を評価する際、交流戦の結果を軽視していいのか、という疑問はあり得ます。

つまり、シーズン全体での勝率はリーグ戦の1試合も交流戦の1試合も同じに扱って単純合計していますが、試合数が少ないため、交流戦の情報が十分に使えていない、だったらこのウェイトを操作したらどうなるか、ということです。

シーズン全体勝率は、交流戦とリーグ戦の勝率を、その試合数(引分を除く)で加重平均することで計算できます。例えば9月7日時点の阪神であれば、18試合 vs 105試合=14.6% vs 85.4%ですね。そこで交流戦のウェイトを5%、10%、15%、20%増やして(リーグ戦のウェイトを同じだけ減らして)シーズン勝率を修正計算してみたのが以下のグラフ。0%は現状そのままの勝率です。

やはり交流戦で負け越したセ・リーグは、交流戦のウェイトを大きくすると勝率が下がっていきます。交流戦で収支トントンだった広島は、微妙に勝率が上がる結果。またウェイト調整が最も大きいケースでは、巨人、DeNA、広島の勝率は並んでしまいます。

現状の勝率では2位、3位とその下に一定の差があるのは事実ですが、交流戦のウェイトの考え方によっては「1強4弱+1問題外」という構図。これを考えると、果たして日本シリーズへの挑戦権をCSで行う正当性があるのか、という議論は、阪神贔屓が過ぎますかね(念のため、私は特段の阪神ファンということではありません)。

パ・リーグは皆、勝率が上がっていきますが、西武と楽天は途中で勝率が逆転する結果になります。しかし、まぁ、ここは4位と5位なので、特に問題はないでしょう。

さて、この後はどうなるか。もちろん、CSの短期決戦で巨人(あるいはDeNA)が阪神を破り、日本シリーズでも勝って日本一になるという可能性は捨てきれません。全国の巨人ファンの皆さんは、それを願っていることでしょう。

しかし、ここまで勝率に差がある中でCSで逆転されたら、阪神ファンは(あるいは大阪人は)黙ってないでしょう。DeNAでもそうでしょうが、巨人ならなおさらです。去年のDeNAも3位からの優勝でしたが、首位巨人の勝率0.566、3位DeNAの勝率0.507と、まぁ、ここまでの差ではありませんでした。

ヨーロッパだと、サッカーの試合に負けた地域で暴動が起きたりというのは日常茶飯事ですが、ついに日本にもこれが起きるか。まぁ、さすがに大阪独立戦争ってことは、武器をもたない日本人では起こらないと思いますが、維新取り込みに向けた政策協議で議題に載せる?さすがにないか。

来月に決まる新しい自民党総裁には、この辺も取り込める懐の深さを期待するところです、ってのは、さすがに強引すぎる論の締め方だな。

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