先週の衆議院選挙では自民が圧勝し、立民と公明が合体した中道改革連合は、下手すると解体の危機。「サナ活」効果なのか、中国の強硬姿勢が後押ししたのか、中道があまりにオッサン過ぎたのか、今後、詳細な分析が出ることを期待します。
私の方は、そんな分析をする能力も材料もないので、軽く全体像をおさらいするしかできません。少しお付き合いください。
争点がないと戦えん!
事前の新聞観測通り、衆議院選挙は自民党の圧勝となりました。色々とメディアで言われている通り、全く争点のない選挙。過去2回の選挙で、「消費税減税」「手取りを増やす」「外国人問題」で勝ってきた野党としては、まぁ、戦いにくい選挙だったでしょう。この辺は自民党の戦略勝ちでしょうか。
正式に解散される前、1月頃のいくつかの週刊誌の予測では、各選挙区でこれまで自民党候補に入れていた公明票が中道に移ることで、自民から中道へのオセロ返しが連発し、自民は議席を増やすものの200議席前後にとどまるとの見通しでした。それが単独で3分の2を超える316議席ですからね、あの予測をやった専門家の皆さん、次回からお声が掛からなくなるんじゃないかと、他人事ながら心配です。
しかしここまで圧勝すると、本来ならセンセイになってはいかん人も当選してしまうことが懸念されますし、次の選挙でも勝てるかとなると、かなり厳しいでしょう。昔の小泉郵政解散選挙で当選した「小泉チルドレン」も、民主党に政権交代した2009年選挙ではかなり落選しましたし、そこで当選した「小沢チルドレン/ガールズ」も同じ運命を辿りました。まぁ、落選するだけなら「勝手にやってくれ」ですが、頼むから落選後に変な政治口利きビジネスに手を出すなよ、と心の不安が拭えません。
ただ、やはり今回目立ったのは、余りにも人気のない中道改革連合。私は「責任ある積極財政」には懐疑的ですし、「サナ活」信者でもありません。気持ち的には「中道」という理念には共感します。それでも中道の代表2人には新鮮味もなく、ここに投票するには、かなり勇気がいるなとも感じていました。新党の名称にしても、「中革連」では「中ピ連」「中革派」「全学連」と同じ語感だしなぁ。
以下は、過去5回の衆議院選挙での小選挙区と比例区の議席数の推移ですが(5議席以上の政党のみ。前回までについても、中道=立民+公明として計算)、今回、自民党は公明票を失ったはずなのに、むしろ小選挙区で議席を大きく伸ばしています。中道は比例区でも議席を大きく落としていますが、こっちは自民というより他の小政党(参政やチームみらい)に行ったようです。
以前の選挙では、議席数をもとにキャスティングボートを握る確率を計算する「パワー指数」なんてものを計算したのですが、自民党が単独過半数を得ているので、計算するまでもなく自民党のパワー指数が1、他の野党はゼロとなり、このブログで書く材料がなくなってしまいました。責任者、出てこい!

各党の人気度
今回の選挙での自民党の戦略は「高市か否か」というフレームだったので、かならずしも政党を選ぶ選挙ではなかったとも言えます。でも、一応は政党人気も比較しておいて無駄はないでしょう。
政党人気を表すバロメーターとして、比例代表の得票率と世論調査での政党支持率(日経新聞:選挙実施月(なければ前月)の調査)を使って、自民党が大敗した2009年以降の衆議院選挙と、直近3回の参議院選挙時の推移を見ます。ここでも、民主党が分裂して立憲民主党ができた2017年以降は、立憲と公明を足した中道の数値も加えています。
自民党の比例得票率は、2014年以降、比較的安定していましたが、前回2024年の衆議院選挙、2025年の参議院選挙とかなり落ちました。政党支持率は、2024年はそれほどでもありませんが、2025年にはかなり落ちました。この時は裏金問題で支持が離れたと言われていましたが、今回は裏金議員がしれっと復活していたのに、ちゃんと戻しています。やっぱり、この辺は石破総理の不人気の影響だったのかなと、この数字を見ると感じます。
ただ今回、自民党の数値は上昇したとはいえ、以前の水準に戻ったという程度であり、316議席という圧倒的な数を説明するには、ちょっと力不足。高市人気もあるでしょうが、小政党が潰しあうため大政党に有利な小選挙区という制度が増幅したのでしょう。
一方で中道は、政党支持率では従来から低く、他の野党とほぼ同じレベルだったのですが、比例得票率でいくと自民と匹敵する水準を維持していました。この辺りが連合、創価学会という組織票の力か、あるいは「小選挙区は自民、比例は公明」という役割分担のゲタだったのか。しかし今回は、支持率の低下に歩調を合わせて、比例得票率も大きく落としています。

政党支持率と議席シェア
次に政党支持率と議席シェアで推移を比べてみます(衆議院選挙のみ)。例えば小選挙区のシェアは、全体465議席に対するシェアではなく、小選挙区の280議席に対する各党のシェアです。ここでは主要4政党のみに絞り、また前回選挙までは立民と公明それぞれも見ます。
まず自民は、政党支持率に比べて、小選挙区のシェアが極めて高く、比例のシェアは少し低いというパターン。これは公明との棲み分けの結果なのでしょう(公明は比例区の議席シェアが高く出ている)。ただ小選挙区のシェアは、24年は政党支持率の低下以上に大きく響き、26年は支持率の改善がないのに従来以上の議席となっていて、かなりの乱高下と言えます。
一方の中道は、議席数で見た通り、比例区について政党支持率以上の議席を得る傾向にあります。小選挙区の上下動が極めて大きいのは、自民のシェア変動の裏返しということでしょう。特に前回2024年の結果は「出来過ぎ」だったと言え、これが元に戻っただけ(もう少し低いが)という見方もできます。この辺りは、投票行動の小さな違いで結果が大きくブレる小選挙区制の怖さだと思います。
とはいえ、今回は本来なら公明票が上積みされるはずでしたし、比例区の落ち込みも極めて大きく、やはり戦略を間違ったような気はします。さすがに高齢者に「もう公明と書かないでね、中道ですよ」と言っても、ちゃんと反応してくれなかったんでしょうか。
維新は支持率横ばいの中、比例を伸ばす一方、小選挙区で落として、結果トントンという感じ。国民民主は、支持率の上昇を得票に十分に変換できなかった様子。比例区では少し上積みしましたが、小選挙区では落としてしまいました。
小選挙区はどうしても大政党に有利ですが、自民が比例区で伸ばせない中、中道の落ち込み分を維新、国民が取り込めなかった(参政やチームみらいに奪われてしまった)というのは、やはり鮮度が落ちてきたということか。自民の争点潰し戦略に負けたという要素もあるでしょうが、やはり毎回、バズるテーマを作り続けるというのは大変です。

と、まぁ、とりとめのないことを書いてきましたが、今回は高市人気に支えられた自民勝利とは言えるものの、ここまでの地滑り勝利をもたらしたのは、やはり投票傾向の小さな差が増幅される小選挙区制の問題という感じも拭えません。
自民党にとってはうれしい結果でしょうが、逆にこの「民意」が少しぶれれば、また2009年のような逆転だって十分に考えないといけません。上述の小泉郵政解散→民主党政権交代選挙の例もあります。高市政権、まだ政策実績としては何も残していませんから、この圧倒的議席を使って何を成し遂げるかですね。今後4年間、「サナ活」推しが続くとは期待しないほうがいいでしょう。
やはり小選挙区制というのは、あまりにも結果を大きくブレさせる可能性がある制度であり、昔の中選挙区制に戻すか、あるいは優先順位付き投票にするか、真面目に考えたほうがいいような気が(本当に)しています。
